2013/03/28

風景を読む Reading landscapes

福島県田村郡常盤町(現田村市)で描いた谷津田の用水路、廣瀬、2004年
  

 

目の前の風景はなぜそう見えるのか? このことに、
私はいつもなみなみならぬ興味を抱いてしまいます。
山のかたち、雨や雪の降り方、草木の種類、村や町の位置、
建物のかたちや庭のつくり、人びとの暮らしぶり……
どれにも当たり前と受け止めてしまうのでは済まされない
理由があると思うのです。
 

私は「風景の観察」を行うようになりました。
風景をスケッチしながら、です。
目に見えるもののそれぞれについて細かく把握ができていなければ、
風景は描けません。
自然、そこにあるものごとを注視する必要が生じます。
知らないこと、分からないことに気づきやすくもなります。
それらについては絵を描き上げてから調べ、
分かったことは絵のかたわらに順に書き添えます。
 

そのように、場所をかたちづくる様々なものごとや、
それぞれのものごとの間にある関係を、
私は読み進めます。
「風景を読む」ことから、私のデザインは始まります。

 
図版出典: 廣瀬俊介『風景読本―県中地域の風景を読む』(福島県県中建設事務所、2004年)
 
初出: 東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 教員コラム  
廣瀬俊介「風景を読む 」2009年7月10日
http://gs.tuad.ac.jp/ae/blog.php?cID=7&ID=28